青ナイル川の水源、アビシニア高原にあるタナ湖。
この面積3500㎡のタナ湖には37の小さな島が点在しており、19の修道院もしくは教会がある。
そのなかでひときわ有名なのが、ゼゲ半島にあるウラキダネ・ミフレット教会。
14世紀のものだ。
バハルダールの港から、モーターボートでタナ湖を北上して約30分。
湖はあくまで広く、空はあくまで青い。
ときどき、葦の茎を編んで作ったボートにのり、オールを漕ぐ人がいる。
彼が獲る魚をねらって、後ろにペリカンが列をつくる。
島の人たちは、この船をつかって1日かけて島からバハルダールへの行き来をする。
ゼゲ半島に到着し、歩き始める。
森の中の一本道だ。野生のコーヒーの木もある。
とことこ、とことこ歩く。
晴れ晴れとして気持ちがいい。
30分ほどあるいたところで、突然、本当に突然といった風に十字架を掲げたトタン屋根と泥で作られた門が現れる。
これがウラキダネ・ミフレットだ。
敷地内には、修道院と教会がある。
教会は、ひときわ大きな円形の建物だ。
靴を脱いで中に入る。
2013年、初めてここを訪れた私は、建物内にはいって、ただただびっくりした。歴史的背景もなにもわかっていなかった当時だが(今もわかってないが)、その迫力に圧倒されてしまった。
そこには床から天井まで、一寸の隙間もなくびっしりと極彩色で宗教画が描かれていたのだ。
天に向かって突き上げるようなエネルギーの噴出だった。
「どうだ!!!」と、挑んでくるような迫力だった。
だだっ広いタナ湖を30分モーターボートで渡り、森の中の一本道を30分とことこ歩く。空と湖の青、森の緑、土の茶色。
そして、突然現れた宗教画のありとあらゆる色。
宗教画の圧倒的なエネルギーと、対照的な教会外の静かな日常。
人々の祈りや笑顔。
7年前、教会を見終わった外国人観光客が興奮冷めやらぬ様子で、私にむかって「Fantastic!!! It is just Fantastic!!!」と叫んできた。
私もいつも叫びたくなる。「すごい。本当にすごい。ファンタスティック!!!」
ここは何度来ても、心が震えるほど感動する。
何度でも行って、感動したい場所。
(Y.I.)